和食にかかせない出汁

日本料理になくてはならないもの

日本には古来から出汁をとる習慣があったと伝えられています。
最も古い物で、縄文時代に魚介や鳥などの獣類を調理する際に出汁が自然に出ていたとも言われています。
7世紀に入ると出汁の原型ができあがり、魚を干して焼いて取ったり、山鳥を使ったりして、その地域の特性に合わせた出汁が用いられるようになり、調理に欠かせない素材となりました。
江戸時代に入ると、かつお節を作る技術が確立され、江戸を中心に出回るようになり、多くの人に用いられるようになりました。
京都を中心とした関西圏では、北前船による交通が活発となり、北海道から運ばれた昆布が出汁として使われるようになったのです。
出汁の文化が一般的に普及したことで、江戸時代には庶民と支配者階級の料理が混ざり合ったとも言われています。

いろいろな出汁

現在では、関東を中心にしたかつお節や関西を代表とする昆布以外にも多くの出汁の元となる素材が伝わっています。
中部を中心にさばや宗田かつおを使う所もありますし、さばやいわしとあじ等を混ぜて使う場所もあります。
日本海側では煮干しを使う地域もあったり、山陰や九州北部ではあごを使う場所もあったりします。
それぞれ地域性が出るでしょう。
一般家庭には出回っていませんが、高級料亭や産地ではマグロで枯れ節を作っている所もあります。
上品な味わいで臭みがありませんが、非常に高価です。
干しエビやホタテもよい風味が出るので、あんかけ料理のあんにも入れられ、味のアクセントとしても利用できます。
植物性の出汁はキノコ類にも多く含まれ、お吸い物や味噌汁で出汁が薄く感じられる時に使うと便利です。
干し椎茸や切り干し大根等の乾物も戻す際の汁が出汁として多く使われています。
干し椎茸はふきんやキッチンペーパーでよくほこりを取って使うとよいでしょう。
切り干し大根は戻す前に軽く水洗いしてゴミを除去する必要があります。
これらの素材や戻し汁は、魚介類でアレルギーの出る方やベジタリアンの方でも使える素材です。

家庭で手間なく出汁をとるなら

家庭で本格的な出汁を取ると、かつお節等の素材の処理が面倒に感じる方もいると思われます。
また、煮干しを使った場合はアクの処理や頭や内臓の処理が面倒に感じるかもしれません。
その場合は、素材をキッチンペーパーにくるんで鍋に入れると後の処理が楽になります。
アクもお玉で取らなくても、キッチンペーパーが吸収できるのでとても便利でしょう。
処分するのが気になる場合、くせのないかつお節や昆布なら出し殻を細かく切って醤油や日本酒で調味し、ふりかけとしてリメイクするのも可能です。
ただし、さばやいわしは臭みが残るのでやめた方がいいでしょう。
出し殻自体を出したくない場合は、お茶などを粉状にするミルサーを利用して出汁の素材を粉状にして使うのもおすすめです。
素材を食べきってしまうので効率よく栄養を取り入れることもできるでしょう。

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