うなぎの旬は夏でいいの?
「土用の丑の日」のイメージが強いからか、うなぎの旬は夏であると考えている人が少なくありません。
しかし、実は夏のうなぎはほぼ全てが養殖で、天然もののうなぎはありません。
実はうなぎの旬は10月から12月といった、秋から冬にかけてです。
水温が下がり始めてきた10月ごろから、冬眠に備えて身に栄養を蓄えなければならないため、豊富な栄養を取った丸まるとしたうなぎが天然物として出てきます。
また、川や湖などに住んでいるうなぎが、産卵のために栄養をしっかり取り、海で産卵をするために川を下る「下りうなぎ」と呼ばれるものが人気です。
天然のうなぎを食べたら他のうなぎは食べられないといわれるほど、川魚なのに脂が乗ってうまいといわれています。
同じ味わいのうなぎはいないといわれるほど一匹ごとに独特の風味があり、あっさりしているのに脂が乗っていて、くどくないのが特徴です。
ただし、残念ながら天然のうなぎ漁獲高は減少しており、養殖うなぎの100分の一程度と多くありません。
また、うなぎの種類によってはレッドリストに掲載しているものが多いため、食べられる可能性は少ないでしょう。
どうしてうなぎが夏の旬になった?
江戸時代の有名な発明家、平賀源内がうなぎ屋の依頼によって発案したアドバイスから、商魂たくましいうなぎ屋が売上をアップさせたというのが、現在日本で最も有名な説です。
夏にうなぎの売れ行きが悪く、どうにかしたいとうなぎ屋に相談を受けた平賀源内が、「丑の日には頭にうのつくものを食べると縁起がいい」と考え出し、精のつくうなぎは夏を乗り切るのに最適だと伝えました。
そして、「本日土用の丑の日」と書いて張り紙をするといいとアドバイスをしたといいます。
うなぎ屋は言うとおりにしたところ、張り紙を見て足を止める客が増え、客に源内の言葉を伝えるとうなぎがうれるようになりました。
他のうなぎ屋でも真似をするようになったことから、日本ではうなぎの旬を夏だと考えるまでに至ったといわれています。
養殖うなぎも冬が旬なのか
現在販売されているほとんどの国産うなぎは養殖です。
実は土用の丑の日に備えて、国内の養殖業者ではうなぎを5月から8月が旬となるように育成しています。
そのため、国内うなぎの養殖品は、夏が旬といっても過言ではありません。
ただし、温度管理がしっかりした環境の中で育っているため、いつ食べてもおいしいように、年間を通じて品質が保たれています。